ミリタリー・ロマンス(*)


女「突然だが、君に伝えておきたいことがある」
男「何だよ、改まって」
女「実は……」
男「………(ゴクッ)」
女「……すまない、先を考えるのを忘れていた」
男「無理に話題作らなくていいよ」
女「聞いてほしいことがある」
男「今回はきちんと先を考えてあるのか?」
女「私を甘く見るな、一度した失敗は狙ってしかしない女だ」
男「……まぁ、進まなくなるから止めておこう。で、何?」
女「こんなものが届いたんだ」
男「ん…? 『三泊五日海外旅行の旅』をペアで…?」
女「どうすればいいと思う?」
男「…そりゃ、行きたい人といけばいいだろ」
女「そんなもの、相手は君がいるんだから悩みはしない」
男「…///」
女「問題は……」
男「……(ゴクッ)」
女「……よくよく考えると、問題ないな……」
男「ないのかよ!」
女「すまない、見た時は問題だと思っていたんだ、忘れてくれ」











女「…あ、そうか。これが現地集合だからどうしようか悩んでいたんだったな」




女「というわけで、旅行初日だ」
男「誰に向かって言ってるんだ?」
女「決まっている、GWにも関わらずパソコンの前にいる全員だ」
男「…まぁいいや。で、現地集合というありえない懸賞の旅行で来たわけだけど…」
女「安心しろ、ピルを飲んできた。妊娠することはない」
男「…それはどうでも…いや、よくやった。…じゃなくて、お前自家製の田んぼはどうするんだよ?」
女「抜かりはない、旅行に行っている間だけ、親に手入れを頼んでおいた」
男「そうか。あとでお礼言わなきゃな」
女「何故君がお礼を?」
男「……そりゃ、近々お世話になるし……///」
女「……///」




男「…なぁ?」
女「何だ?」

 ズバババババババ

男「来てから言うのも何だけどさ、やっぱり間違いだったんじゃないか?」
女「ああ、この荷物のことか? すまない、やはり米は5`もいらなかったか」

 チュドーーーーーン ドーーーーーーン

男「…それは後でじっくり問いただそう。それより、自殺志願者じゃないか、俺たち?」
女「何故?」

 キャアアアアアアアアアア

男「…何故、内戦中の国なんだ?」
女「戦争体験ツアーの売れ残りペアチケットが商品だったからな、そもそもキャンセルが相次いで私たち以外参加者もいない」
男「………」
女「最終日には、徹夜で敵の拠点まで進軍することまで出来るんだ、お得じゃないか」
男「………」
女「いはい、いはいはらひっはらはいれくれ」












女父「…母さん、分かったか?」
女母「いえ……何であの子は、田んぼのある場所と手入れの仕方を暗号にして渡したのかしら……」




男「えーと……ここがこうで……」
カチッ、カチバキッ
男「……できねぇよ、銃の組み立てなんて」
カチカチカチカチ、カチャ、チャキッ
女「……ふっ」
男「…お前、何でそんなことできるの?」
女「私の好きなものは?」
男「……米」
女「米が作られるのは?」
男「……田んぼ」
女「田んぼに突如襲い来る害鳥として名高いあの真っ黒けな鳥は?」
男「……カラス」
女「そのカラスを撃退するために、銃の扱いは完璧だ。火縄銃から米国で試作中のレーザーライフルでさえ、幅広く使いこなしてみせよう」
男「……」
女「そんな見つめられては…惚れ直したか?」
男「日本って、銃の使用は基本的に禁止だよ?」
女「安心してくれ、普段は水鉄砲で撃退している」
男「…じゃあ、銃の扱いを極めた意味は?」
女「………あ」
男「……」
女「…今度、」
男「射撃の的にはならない」
女「…じゃあ、私を」
男「的にしない」
女「…性的な意味で」
男「……一応、断っておく」




女「食事をもらってきたぞ」
男「…えっと、これは?」
女「干し肉だ。保存食として昔は重宝していたぞ」
男「…今は何が重宝しているの?」
女「レーションというものだ。詳しく説明すると時間がかかるから、家に帰ってからググってみるといい」
男「…じゃあ、何で干し肉が配られたの?」
女「………は!?」
男「……」




男「ロッククライミングか…こんなの、いきなり出来るわけが…」
女「よ、ほ」
男「……」
女「どうした、早く登ってくるといい」
男「んなこと言われても……高いよこれ、声聞こえるけど姿見えないよ」
女「ああ、熱い。動いたら汗をかいてしまった。一旦服を脱いで涼もうか」
男「……」

 ガシッ
     ガシッ


   ガシッ

       ガシッ


 ガシッ
        ガシッ


男「ふぅ、ふぅ、ふぅ!」
女「すまない、嘘だったんだ」
男「………グスン、グスン」
女「……とりあえず、顔を上げたまえ」
――――チュ
女「……今はこれで勘弁してほしい」
男「………うん」




女「今日は初めに爆弾処理をするそうだ」
男「…初心者がやって大丈夫なのか?」
女「大丈夫! 何を隠そう、私は爆弾処理の達人だ!」
男「…ちなみに、達人になった理由は?」
女「心無い人間が、私の田んぼに爆弾を設置したときのためだ」
男「あるあるあr……ねーよww」
女「……そういえばなかった」
男「………」
女「………」
男「これ切って大丈夫?」
女「それは君と私の赤い糸だから、切っちゃダメ」
男「…///」




男「ぜぇ! ぜぇ! ぜぇ!」
女「これくらいで息が上がるとは、情けない」
男「だ…だってさ! こんな! 荷物! 持って!」
女「確かに重いが、これを背負ったままで5`マラソンなどまだまだぬるい。本来なら、ほふく前進や河川の横断まで入るはずだ」
男「素人に! それは! できないっ!」
女「…何だかんだ言って、喋れているんだから余力あるんじゃないか」
男「…そういえば」
女「じゃあ、これも持ってくれ」
男「ちょ! 背中に荷物載せるな!」
女「すまない、私はさきほど入手した米俵を持ち運ぶのに精一杯なんだ」






男「ところで、これはどこの国って設定?」
女「君も飛ばしてきたじゃないか。ちなみに、決めてないらしいぞ。汎用性が高いじゃないか」




男「ふぅ、やっと終わった……半日走りっぱなしとかありえねぇ…
  …そういえば、あいつどこだ?」
兵士「Χαραζουμε ακομα το ιδιο αστερι που ειδαμε μια φορα」
女「だが断る」
 スタスタスタ
男「何言われてたんだ?」
女「ウチの隊に正式に入隊しないかと誘われた」
男「凄いな、お前…で、断った理由は?」
女「この国の主要食がパンだからだ」
男「…なるほど、分かりやすいな」













女「……しまった、彼と会えなくなるから断ったんだ。忘れていたな」




女「明日は午後から、敵の拠点まで徹夜で進軍するらしいぞ」
男「…大丈夫なの、それ?」
女「まがりなりにもツアー…旅行なんだ、大丈夫だろう」
男「にしちゃ、今までかなりハードだったけど」
女「夜になった時の君のほうがよっぽどハードだと思うぞ」
男「…それは…その……ゴニョゴニョ」
女「何はともあれ、ご飯にしよう。今日もいいお米分を補給できそうだ」
男「…シュークリーム分とか、そんな意味合い?」
女「そうだ。
  ………ところで、何故君はエロゲーのその言葉を知っている?」
男「………」
女「オシオキだ、たとえモグモグ架空の存在だろうと、私モグモグ以外に興奮するなど許せモグモグない」
男「…その言葉、米を咀嚼するのやめてから言おうな」
女「ゴクンッ温かいうちに食べないと、米に対して失礼じゃないか」




 コチ、コチ、コチ……
女「……グゥ」
男「……グゥ」
 コチ、コチ、コチ……
女「……グゥ」
男「……グゥ」
 コチ、コチ、コチ……
女「……米」
 バサッ
男「今米って言った……絶対米って言った……」
女「……グゥ」












女「……ササニシキ」
男「……実は起きてた?」
女「うん」




女「がんがんがんがんがん。ほら、君の好きな小説にのっとって起こしてあげているんだ、さっさと起きたまえがんがんがんがん」
男「うぅ……うぅぅ……」
女「がんがんがんがん。………がんがん………米米米米起きなさい米米米米」
男「うぅぅ……うぐぅぅぅ……」
女「新米古米白米玄米無洗米……」
男「……わかった、起きるよ」
女「…米……」
男「……のど渇いた……」
女「安心してくれ、米料理なら得意中の得意だ」
男「いや、水を……」
女「お米の研ぎ汁でいい?」




女「午前中は、トラップの仕掛け方を学ぶみたいだな」
男「んー…やる気しないな…」
女「そんなことではダメだ、トラップの仕掛け方を理解することで、仕掛けられたトラップに気付き易くもなるんだ」
男「…じゃ、頑張るか」
女「あ、右手側注意」
男「え?…グアッ」
女「……ピース」
男「……くそ、右ってフェイクかよ」
女「うん。本当は前方にあった草を結んで転ばせる簡易トラップ」




男「さて、いよいよ敵地に向かうわけで」
女「そうだな」
男「…それにあたり、聞くことがある」
女「何かね?」
男「…その重装備は何でしょう?」
女「赤外線ゴーグルにレーション、手榴弾に催涙弾、煙幕とサブマシンガン、サバイバルナイフに簡易救急セット。
  極めつけは、ちょっとそこから取ってきた米国の主力戦車M1A1 エイブラムズ」
男「…ここがどの国か本気でわからねえ……」
女「安心しろ、作者も分かっていない。それはともかく、そろそろ出発だ」









男「ところで戦車は?」
女「宅配便で自宅に送っておいた」




女「……痛い」
男「どうした?」
女「蛇に咬まれた」
男「ちょ!w 大丈夫かよ!?」
女「……ダメ」
男「マジで? ……応急処置ってどうすれば……お茶とかか?」
女「……米」
男「……」
女「……米」
男「……(ペタペタ)」
女「…やはり米は最高の血清だな」
男「…実はどっかにひっかけただけとか?」
女「いや、自分でひっかいた」




女「見えてきたぞ、あれが敵の研究施設だ」
男「やけに内情に詳しいな」
女「米500cと引き換えに、色々と教えてもらったからな」
男「…お前が米を誰かにあげるなんて……」
女「美味しく食べてもらえるなら誰が食べようと構いはしないさ。
  それより、気をつけたまえ」
男「何を?」
女「何でも、今から行く施設では捕虜を何人も集めているらしいからな、交渉手段として」
男「…笑えません、隊長」
女「大丈夫、いざというときはブーンで逃げ出せばいい」
男「……できないよね」
女「ああ、できないな」




男「…さて、大変なことになったわけで」
女「そうだな、まさかいきなり君が襲いかかってきて外でいたしちゃったあげく、妊娠してしまうとは」
男「…よく冗談言う気力あるね?」
女「冗談を言ったのではない、夢を語っただけだ」
男「…まぁ、いいよ。じゃあ、今の問題点を語って」
女「そうだな……カビくさいな、この部屋は」
男「…他には」
女「……目の前に君がいるな、興奮してしまう」
男「おk、おk。話が進まないってことがわかったよ。
  ……俺たち、捕虜にされてるよね?」
女「そうだな、それがどうかしたのか?」
男「……たくましいね」
女「やめてくれ、貶さないでくれ」
男「うん、褒めてないからね」
女「そんなこと言われると、君を虜にしたく…」
敵兵「黙れジャポネーゼ!!」






男「なぁ、マジでここ何処の国なんだ?」
女「君の心の中にある国だと思うよ」




女「…そろそろ飽きてきたな」
男「まだ捕まってから十五分も経ってないよ?」
女「ふむ……」
男「……ゴクッ(何か考えがあるのか…)」
女「……」
男「……」
女「……」
男「……」
女「……グゥ」
男「ぅおいっ!」
敵兵「黙れイエローモンキー!!」
女「…おい、そこのホワイト」
敵兵「…何か用か、ジャップ」
女「私はムーリアだ。…それは置いといて、相談があるんだが」
敵兵「何だ?」
男「……ゴクッ」
女「……この男のいない場所で話がしたい。構わないか?」
敵兵「『ΣΗΘΔΜΚ ΘΓΡΠΟΞΝΜΛ ΘΖΕΧΦΥΩ ΜΛΘΖΕΧ 訳:ああ、ああ。俺だ。お前等今から仮眠室に来い。捕虜の女を犯すぞ』」
男「…おい、大丈夫なのかよ…?」
敵兵「…よし、女。ついて来い」
男「おい!」
女「安心しろ、私は地上最強の生物であるY・Hを超越している自信がある」
 スタスタスタ……




女「……しまった、彼との会話で笑いを取れなかった……屈辱だ」






 女『……ここで聞いてもらえるのか?』
 敵兵い『へへへ…いいぜ、俺たちが満足し終わった後ならな…』
 敵兵ろ『くく…おい、結構可愛いじゃねぇかよ』
 敵兵は『俺は最初前からだ…』
 女『イヤ! やめてよっ! やめてったら! い…いやあああぁぁ……』

女「『ぁぁっ……!』…うーむ……これでは売れないエロ漫画だ」
敵兵い「…おい、こいつ頭大丈夫なのか?」
敵兵う「……捕虜にする相手を間違えたかもしれん」
女「…ち、ギャグも理解できないとは……貴様らそれでもコメディアンか!?」
敵兵a「コメディアンじゃねぇよ!!」
敵兵Σ「…相手にするな、ヤりはじめれば誰だってそう変わりゃしねぇよ」
女「…一つ聞きたいことがある。
  仮にお前たちに体を許したとして、そうしたら彼…連れの男を解放してくれるのか?」
敵兵ぅ「…そうだな、開放してやるよ」
女「そうか、わかった。なら、お前たちを倒すまでだ」
敵兵2「…は?」
敵兵あ「…おい、会話が成立してないぞ」
女「それに、先ほどから何語で話している!
  生憎私は、日本語とコメ語以外は気分的に話せないことになっている!!」
 バキッ  ガハッ
      ズダダダダダダダ

 ダンダンダン  ウゲェ
  カカカカカカッ


女「…ふん。この程度なら、田んぼを嵐に来るカラスのほうがよっぽど強敵だ」
敵兵「………」
女「…へんじがない ただのしかばねのようだ」
 ………
敵兵all「死んでねぇよ!」
女「まだ生きてたのか。褒美として、全員のイチモツを再起不能にしてあげよう」

?「随分と威勢のいい小娘だな」
敵兵全「た、大佐ぁ!」
女「お、ラスボスか。
  …なるほど、つまりお前を倒せば彼と私のラブラブ甘々新婚生活編へとシフトするわけだな」
大佐「…変わった女だな」
女「失敬な、変な女と言ってくれ」
大佐「無駄な行数を稼がないことだ、次の展開に入りづらくなるぞ」
女「…流石は大佐、よく分かっている」
大佐「まあな。で、話とは?」
女「彼を解放してくれ。あわよくば、米を炊かせてくれ」
大佐「……条件がある」
女「今後米を食べるな、という条件でなければ聞こう」
大佐「ウチの軍隊に入れ、田んぼを守るためという理由だけで得たとは思えない力を役立てるためにな」
女「………」




女「(どうしよう、まさか本当に田んぼを守るためだけにこのレベルになったと言ったら殺されそうだ)」




男「…あ! おい、大丈夫かよ!?」
女「戻ったとたんにそんなラブコールをもらえるとは…幸せ者だな、私は」
男「冗談言ってる場合かよ!」
女「安心しろ、君が危惧するようなことは何もない」
男「…まぁ、それはお前の裏にいる男たちを見ればわかるよ。
  全員、何か泣いてるし」
女「大したことはない。ただ、生命に定義される条件の一つを失っただけだ」
男「??」
大佐「はぁ…そろそろ話を進めてくれ」
男「…そいつは?」
女「今日から私の上官になった男だ。…まぁ、一両日中に亡き者にして後釜につくが」
大佐「……とりあえず、今から君を解放しよう。捕虜は他にもいるし、優秀な兵士も手に入った。
   ………何より、アメリカトカジャパンコワス」
女「というわけだ。安心して外に出て、せっせと稲作に励んでくれ」









女「…ところで、何故私が田んぼのために強くなったと知っている?」
大佐「PC前でカチャカチャやってるヤシのミスだろう」


男「…お前は、出られないのかよ……」
女「君を解放する条件が、私の入隊だからな。どうにもならない」
男「……なら、俺も一緒に……っ!」
女「それは困る、この国で世帯を持つことになってしまう」
男「それでもいいじゃないかよっ」
女「…困らせないでくれ……」
男「……っ……」
女「…それに、君に頼んでおきたいことがある」
男「何…?」
女「私お手製の田んぼ…世話を頼む」
男「…わかった……」
女「あと、新しいブランドのチェックも怠らないでくれ…」
男「…うん……」
女「炊飯器のチェックもだぞ? それから…」
男「…ごめん、お米関係以外は何かないの?」




男「ん……いい天気だな……稲もよく育ちそうだ」
男「……うん、いい天気だ」


男「ん、また手紙届いてる…何々、『早く米を! プリーズ米!!』
  ……って、あいつは毎回毎回…それ以外の内容はないのかよっ」
男「…二枚目があるな、珍しい……『10/X日に、面白いことが……』
  ……X日っていつだよ……」

X「臨時ニュースをお伝えします。昨日の午後十時、現地時間正午に、内戦の終結が発表されました。
  内戦終結の立役者である女性がいるとのことですが、まだ詳しくわかっておりません。わかりしだい、追って連絡を……」



郵「……えーっと……すみません、お届け物なんですが………大丈夫ですか?」
男「……えーっと、何ですかこれ?」
郵「さぁ……とりあえず、ここに置いておきますね」
男「玄関先にこんなもん置くって…っておい! コラッ」
男「……あの時の戦車か…てか、ウチ宛てに送るなよ、バカ……」

X「たった今判明した情報をお伝えします。
  内戦終結の立役者となった女性に関してですが、三年前に××国へ入国、捕虜となっていた女性ということがわかりました。
  ××国にて稲作を広め、その際に両陣営の仲を取り計らうという政治手腕を発揮し……」




男「…ふぅ……もうすぐ稲刈りか……一人でやるのは手間だろうな……」
女「トラクターなどはないのか?」
男「うーん……金ないし」
女「仕方ない、手伝ってやろう」
男「うん、ありがとう」
女「気にするな、米のためだ」
男「………」
女「………」
男「……おかえり」
女「……ただいま」

女「ほぅ……凄いじゃないか、色も大きさもいいし、何より君の香りがする」
男「そうか? まぁ、手間だけは大分かかってるぞ。何せ、就職しないでフリーターを選んでまで育ててきたからな」
女「……ニートめ!」
男「違う、フリーターだ! きちんと働いている!!」
女「そんな熱くならないでくれ、冗談だ」
男「分かりにくいよ……」
女「それより聞いてくれ、私は何と、自分で新しいブランドを作り上げたぞっ」
男「…マジで? 凄いな」
女「ああ、私自身凄いと思っていた。 ……けど、味は世界で二番目にしかなれなかった」
男「他にもっとうまい米があるのか?」
女「……いつも送ってくれた、この田んぼで作られたお米以上の味を、出せるわけがないじゃないか……」
男「………そっか」
女「……どうしてくれる。私は君の作った米がないと、生きていけないじゃないか………」
男「…じゃあ、これからも作り続けないとな」
女「……当たり前だ」
男「……手伝ってくれる?」
女「……当たり前だっ」
男「泣くなよ、バカ」
女「……泣いてない、ただ……」
男「ただ?」
女「……泣いてない」
男「落ちてないよww 最後くらい落とそうよwww」
女「……この物語はフィクションです…実際の登場人物、団体……」
男「ゴメン、笑えない」
女「……泣いてないからな………」