はてしない物語


女「君のことを考えている時間をX軸に、わたしのことを考えている時間をY軸に、
  今年の稲の生長をZ軸にそれぞれとった三次元グラフを考えてみてくれ」
男「できねぇよ」
女「そのグラフ上で、わたしの君に対する『好き』の気持ちは、
  座標でいうとだいたい虚数単位に位置するんじゃないかと思う」
男「…………虚数単位の意味、知ってるよな?」
女「馬鹿にするな。二乗すればマイナス1になる妄想上の数字のことだろう?」
男「妄想……」
女「グラフなんかの上に表せるほど安っぽい想いじゃないんだ」
男「…………」
女「でも、二乗するとマイナスになる」
男「…………」
女「君が二人いなくて良かった」
男「…………」
女「『きみの二乗』なんていうと、なんかそんなタイトルのラブコメでもありそうだな」
男「…………」
女「高橋しん『キミノカケラ』は意気込みは良かったが、少々滑り気味の話だった」
男「…………」
女「とりあえず『きみの二乗』は13週打ち切り」
男「…………」
女「あ、二乗してマイナス1でも、さらに二乗すれば普通の1じゃないか」
男「…………」
女「四人で一人か。グループ名が必要になるな」
男「…………」
女「ヒトリメナカーマコウイテーンイロモノヒトーリサイゴテヌーキ」
男「…………」
女「長すぎるッ! 『四天王にありがちなこと』で十分だッ!」
男「…………」
女「グループ名っぽく『A/R/I/G/A/T/I ♪ 四天王ズ』と事務所の社長に命名される」
男「…………」
女「まいったな……どこぞの野球少年だって双子で済んだのに、四つ子ときたら、
  もう新しいジャングルというよりただの鬼畜プレイだ」
男「…………」
女「ちなみに『ジャングル』とは『ジャンル』の異化」
男「…………」
女「少年誌じゃあ13週ももったほうが奇跡だよ」
男「…………」
女「前とうしろと口と……まさか、君のうちの一人だけを眼球童貞にするわけにもいかないし……」
男「…………」
女「眼球童貞を知らなければ、新ジャンル『安価っ娘』のまとめブログでも探して見てくれ」
男「…………」
女「そこで妖怪二口女の出番ですよ」
男「…………」
女「二口女って、旦那がいない間におにぎりと味噌汁大量に作ってうしろの口から流し込んでたけど、
  流し込むのにわざわざおにぎりにしなくてもいいと思う」
男「…………」
女「でも、そこまでして米を食って食って食いまくりたかったのかと思うと、ほろりとくる」
男「…………」
女『そんなにもあなたはお米を待ってゐた』
男「…………」
女「やばっ。この米はキケンだ」
男「…………」
女『昔 山巓でしたやうな深呼吸を一つして、わたしの機関はそれなり止まつてしまう』
男「…………」
女「高村光太郎も余計な詩を詠んでくれたよ、まったく」
男「…………」
女「高村コータローて片仮名にすると、
  中堅どころの歌手に曲を提供してる作詞家ってイメージにならないか?」
男「…………」
女「THE虎舞竜あたりなら智恵子抄を歌にしてくれそう」
男「…………」
女「そういやロードって、いま何章までいってんの?」
男「…………」
女「ガラスの仮面とどっちが先か……」
男「…………」
女「『こんなガラスの仮面は舞台降板だ!』より。
  『ヘル・ミッ・ショネルズにコレクションされるガラスの仮面』」
男「…………」
女「仮面の神官将って、正体ばればれだったよね」
男「…………」
女「幻想水滸伝Uを越えるRPGをプレステ3は出せるんだろうか……?」
男「…………」
女「幻想水滸伝シリーズ、ラストの敵は『ふさふさの紋章』に決定しました」
男「…………」
女「毛並みはふさふさ、肉球はぷにぷに、その名はぬこ!」
男「…………」
女「『ウオオオオオ! ぬこ、ぬこオオオオォォォ!』狂ったようにぬこに殺到する四人の君」
男「…………」
女「むしろ、狂ってる」
男「…………」
女「ぬこは条件を出しました」
男「…………」
女「一人目の君には『蓬来の玉の枝』」
男「…………」
女「そして切れる君。『猫がしゃべるなッ!』」
男「…………」
女「四人による一斉攻撃!」
男「…………」
女「『我らにとって、しゃべっていい猫はドラえもんだけで、飲み食いしていいからくり人形もまた
  ドラえもんだけなのだ!』」
男「…………」
女「もちろん、大山のぶ代バージョン」
男「…………」
女「一人目の君はぬこに敗れ、仲間になる」
男「…………」
女「スネオの顔の造作がすでにヒトではない件について」
男「…………」
女「あれは、鳥類だ」
男「…………」
女『ごめんよスネオ。でも、僕たちはもう極限状態まで飢えていたんだ……』
男「…………」
女『スネオのスナズリうめぇー!』
男「…………」
女「タイム風呂敷をかければスネオはあーら不思議、生ゴミから奇跡のふっか〜つ!」
男「…………」
女「まさに現代のプロメテウス」
男「…………」
女「不死身の英雄プーは神々が独占していた『火』を盗み人類に与えた罰でつながれ、
  鳥にはらわたつつかれたけど不死身なんでまた元通り、エンドレス」
男「…………」
女「ムスカ君、君は英雄だ」
男「…………」
女「トエルはまこと、ウルは王」
男「…………」
女「じゃあ、ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタの『パロ』はなんなんだ? パロディのパロか?」
男「…………」
女「パロ・スペシャルがウォーズマンにしかかけられないという設定はなんだったんだろうな?」
男「…………」
女「ゆでだから」
男「…………」
女「宮下御大、車田御大、そしてゆで御大の設定に逆らってはいけない」
男「…………」
女「三人ともいわゆる『二世もの』に走っている点に注目」
男「…………」
女「水滸伝の続編『水滸後伝』もある意味二世もの」
男「…………」
女「なんと、梁山泊軍団の生き残りが日本軍と戦うシーンがあるんだ」
男「…………」
女「日本軍大将の名は『関白』」
男「…………」
女「しかし『日本人は寒さに弱いので、公孫勝が呼んだ吹雪で死んじゃいました』」
男「…………」
女「ミュータントタートルズに描かれた日本人像並みに国辱物の表現だと思わない?」
男「…………」
女「特に『スモーレスラー』と893の区別がついていない件について」
男「…………」
女「ところがどっこい、ゆで御大の『闘将!! 拉麺男』にも
  スモーレスラーが同じ扱いで出てたりする」
男「…………」
女「我々が思っている以上に、ゆで御大はすごいのかもしれないな……」
男「…………」

男(ほっとけばいつまでしゃべり続けるんだろう……まさにシュルレアリスムの『自動記述』だなあ)
女「……そろそろ止めてくれないか?」
男「あ、ごめん。つい聞きほれてた」
女「だいたい、四人もいらない。わたしは君一人好きなだけでいっぱいいっぱいだよ」
男「…………////」
女「たとえ、一人じゃ並の人間四分の一の価値しかない存在だとしても」
男「…………」