女「江戸時代のお殿様は実際に天守閣には出入りしなかったらしい」
男「ほー」
女「住んでいたのはもっぱら天守閣の下に作った御殿で、
下手に気紛れ起こして天守閣に登りたい、なんていったら、準備やら儀礼やら段取りやらで
すさまじい手間と出費になったそうだ」
男「太平の世になったら、しょうもないことがどんどん形式化していくからなあ」
女「つまり、ただのシンボルというわけだ」
男「そうなるな。ちとでかすぎるけど」
女「万博記念公園でいうと、太陽の塔!」
男「そんな姫路城行きたくねぇ――ッ!」
女「日本全国に現存する江戸時代からの天守閣は全部で12。太陽の塔が12基。
うち、国宝が4基。彦根、犬山、松本、姫路」
男「やめれ」
女「戊辰戦争で哀れ穴だらけになった会津若松城の太陽の塔!」
男「なんて無駄死にっぽい白虎隊!」
女「難攻不落の要塞・熊本城。攻め寄せる西郷さん以下薩摩隼人たちを嘲笑うように見下す
太陽の塔! ああ! よく見ると『現在の太陽』の鼻の穴のところから熊本鎮台司令官谷干城が
顔を出して西郷さんを鼻で哂ってる!」
男「おまww闇討ちされっぞwwwww」
女「新政府軍にサムライの意地を賭け特攻する土方歳三!
その背後には最後の誠のもののふを見守ってんのか隙あらばてっぺんの『未来の太陽』から
ビームを撃とうと狙っているのかよくわからない五稜郭の太陽の塔が!!」
男「新撰組はマジで敵に回すなよッ!! ってか、狙われてんのか土方さん!」
女「最近、各自治体で天守閣を昔のままの技法で蘇らせようとする動きが盛んになっておりまーす。
ついこないだも伊予大洲城の太陽の塔が再建されました」
男「何の新興宗教だ、何の」
女「キン肉星王位争奪戦、戦いの舞台はもちろん太陽の塔!」
男「王位いらねぇ〜」
女「安土城幻の天主閣、その太陽の塔の最上階にはさいたまたまたまの絵が一面に描かれていたと
ルイス・フロイスが書き残しています」
男「だからか! 光秀ぇ〜」
女「越前北の庄城、戦いに敗れた柴田勝家は太陽の塔でお市とともに自殺!」
男「悲愴感微塵もねぇ〜!」
女「人は城、人は石垣、人は堀――――
武田信玄は生涯本拠地に太陽の塔を築くことはありませんでした」
男「漢だぜ武田菱ッ!!」
女「太陽の塔をバックに今日も『……と、固く心に誓う、吉宗であった』」
男「あの時代、ホントは江戸城の天守閣なかったんだけどね」
女「よくみると、お庭番がへばりついて表面のコケとか地道に除去してる」
男「やめてー!」
女「掃除し終わったとたん、詰まっていた『未来の太陽』からビーム発射!
火事と喧嘩はお江戸の華っと」
男「悪徳材木問屋がまた儲ける〜」
女「…………のちの、振袖火事こと明暦の大火である」
男「うわぁ、老中の保科さん、天守再建を断固として拒絶したわけだ」
女「そのお庭番の名をとって、『鮫島事件』ともいう(吉川弘文館・国史大辞典)」
男「わけねーッ!」
女「福知山城天守台の石垣には、美術館から徴発した岡本太郎の作品が随所に使われております」
男「シュールすぎッ!」
女「三成に 過ぎたるものが 二つあり 島の左近に 佐和山の太陽の塔」
男「島左近が情けねぇのか、太陽の塔がすごすぎるのか、どっちだ!?」
女「梟雄・松永久秀、名器平蜘蛛とともに信貴山城・太陽の塔に散る!」
男「まさに、芸術は爆発だ!!」
女「しかし、百花繚乱の大築城時代も、幕府の一国一城令によってその幕を下ろしたのでした……」
男「あぶれた太陽の塔たちはどうなったんだ?」
女「国内に居場所のなくなった太陽の塔たちは、海を越えて長い長い旅に出ました。
長い旅の末、すっかり色あせ縮んでしまいましたが、
今でもその姿をイースター島に訪ねることができます」
男「ちょwwwwwモアイかよwwwwwwww」
ξ゚听)ξ 「…………なにやってんの、あの二人?」
( ^ω^)「仲がいいんだお」